□侵入時、第2昭南丸の船長逮捕主張
東京港での逮捕から3週間。シー・シェパード(SS)の元船長、ピーター・ジェームス・ベスーン被告(44)が2日、傷害などの罪で起訴された。日本の捜査機関として初めてSSメンバーを逮捕した海上保安庁は「経験がない神経戦だった」と振り返るが、日本で裁かれることは織り込み済みだったベスーン被告は一貫して“自然体”だったという。起訴でひとつの区切りを迎える一方、捕鯨関係者らからは妨害行為を阻止するための法整備を求める声が改めてあがった。
■「傷害罪は当然」
「艦船侵入だけでなく傷害も当然あり得ると思っていた。けじめだけはきちっとつけていくべきだ」
ベスーン被告の起訴が迫った2日朝。赤松広隆農林水産相は閣議後の会見で、調査捕鯨に関する考え方の違いと、犯罪行為は厳密に分けて考えるべきだと指摘し、妨害行為での立件は妥当だとの見解を示した。
日本鯨類研究所の関係者も「傷害罪での起訴は当たり前」と強調する。調査捕鯨船の乗組員らが実際に負傷しているためだ。関係者は「これで艦船侵入罪だけの起訴なら、裁判で宣伝機会を与えるだけのみじめな結果になるところだった」と胸をなで下ろした。
■日本語でお礼も
過激な行為を繰り返してきたSS。ところが、勾留中のベスーン被告は一貫して落ち着いた様子だったという。
東京海上保安部の留置施設でも初日からよく眠り、ほかの容疑者と同じ食事をとった。「おにぎりもコッペパンも肉も何でも残さず、特別なメニューを要求することもなかった」(海保関係者)。食事を平らげた後、海保職員に「おいしかった。ありがとう」と、日本語で“お礼”を言う一幕もあったという。
ベスーン被告は不法侵入した際、第2昭南丸の進路を妨害して接触、大破した抗議船「アディ・ギル号」の乗組員に対する殺人未遂容疑などで、「第2昭南丸の船長を逮捕する」と主張していたことも捜査で判明した。
艦船侵入の動機としては荒唐無稽(こうとうむけい)にみえる主張に、捜査関係者は当初、困惑したが、その後の調べで、ベスーン被告が、豪州刑事法に定められる「私人逮捕」権を根拠にしていたことが分かった。
捜査関係者は「単に船に乗り込んで妨害するだけでなく、法的な根拠に基づいた行動を取っていることを強調して、正当性を示そうとした」とみている。
■早期に法整備を
傷害や威力業務妨害など妨害行為そのものの立件にこぎつけた意義は大きいが、今後の抑止効果には懐疑的な見方も多い。
日本鯨類研究所の関係者は「活動拠点となっている豪州にSSの活動を抑制させない限り、妨害はやまない。日本政府の毅然(きぜん)とした対応が必要だ」と話す。
水産行政に詳しいジャーナリストの梅崎義人さんは「報道されて絵になる派手な活動をしなければ寄付が集まらないため、SSは活動をやめない」と断言する。その上で、「SSの行為はテロであり、対応できる法律が必要。SSを公海上でも逮捕できる海賊対処法の対象に加える改正なら早期に実現でき、国民の同意も得られるだろう」と法整備の必要性について語った。
・ <雑記帳>慶大SFCが設立20周年の記念式典(毎日新聞)
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■「傷害罪は当然」
「艦船侵入だけでなく傷害も当然あり得ると思っていた。けじめだけはきちっとつけていくべきだ」
ベスーン被告の起訴が迫った2日朝。赤松広隆農林水産相は閣議後の会見で、調査捕鯨に関する考え方の違いと、犯罪行為は厳密に分けて考えるべきだと指摘し、妨害行為での立件は妥当だとの見解を示した。
日本鯨類研究所の関係者も「傷害罪での起訴は当たり前」と強調する。調査捕鯨船の乗組員らが実際に負傷しているためだ。関係者は「これで艦船侵入罪だけの起訴なら、裁判で宣伝機会を与えるだけのみじめな結果になるところだった」と胸をなで下ろした。
■日本語でお礼も
過激な行為を繰り返してきたSS。ところが、勾留中のベスーン被告は一貫して落ち着いた様子だったという。
東京海上保安部の留置施設でも初日からよく眠り、ほかの容疑者と同じ食事をとった。「おにぎりもコッペパンも肉も何でも残さず、特別なメニューを要求することもなかった」(海保関係者)。食事を平らげた後、海保職員に「おいしかった。ありがとう」と、日本語で“お礼”を言う一幕もあったという。
ベスーン被告は不法侵入した際、第2昭南丸の進路を妨害して接触、大破した抗議船「アディ・ギル号」の乗組員に対する殺人未遂容疑などで、「第2昭南丸の船長を逮捕する」と主張していたことも捜査で判明した。
艦船侵入の動機としては荒唐無稽(こうとうむけい)にみえる主張に、捜査関係者は当初、困惑したが、その後の調べで、ベスーン被告が、豪州刑事法に定められる「私人逮捕」権を根拠にしていたことが分かった。
捜査関係者は「単に船に乗り込んで妨害するだけでなく、法的な根拠に基づいた行動を取っていることを強調して、正当性を示そうとした」とみている。
■早期に法整備を
傷害や威力業務妨害など妨害行為そのものの立件にこぎつけた意義は大きいが、今後の抑止効果には懐疑的な見方も多い。
日本鯨類研究所の関係者は「活動拠点となっている豪州にSSの活動を抑制させない限り、妨害はやまない。日本政府の毅然(きぜん)とした対応が必要だ」と話す。
水産行政に詳しいジャーナリストの梅崎義人さんは「報道されて絵になる派手な活動をしなければ寄付が集まらないため、SSは活動をやめない」と断言する。その上で、「SSの行為はテロであり、対応できる法律が必要。SSを公海上でも逮捕できる海賊対処法の対象に加える改正なら早期に実現でき、国民の同意も得られるだろう」と法整備の必要性について語った。
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by gy3rbnezoz
| 2010-04-05 23:09